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桝田・丹羽法律事務所

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 むち打ちで非該当となる場合

事故態様が軽微な場合

1 修理費が20万円以下程度の場合
事故車両の修理費が20万円以下程度の場合、後遺障害の認定を受けるのは難しい印象があります。
修理費が小さな事故の場合、事故時の衝撃も小さいだろうと考えられてしまい、認定の可能性が低くなっている印象です。
ただ、修理費は、車種、修理の方法、使用する部品等によって、必ずしも車両の損傷状況と比例しないこともあります。
そのため、修理費が低額であっても、症状が根強く残ってしまった場合、後遺障害の申請自体は行うべきです。
実際、修理費が20万円以下であっても、数は少ないですが、後遺障害が認定されているケースはございます。
 
2 軽く擦った程度の事故
車体を軽く擦った程度の事故の場合、後遺障害が残るほどの傷病を負うことは考えがたいですので、非該当となる可能性が高いです。
 
3 ドアミラー同士が衝突しただけの事故
ドアミラー同士が衝突しただけで、車両本体には何らの損傷もない場合には、後遺障害が残るほどの傷病を負うことは考えがたいですので、非該当となる可能性が高いです。
(近時はドアミラー同士の事故では、事故による受傷自体が否定されて、治療費自体、支払を受けられないケースが多いです。)
 

治療経過に問題がある場合

1 治療期間が短い場合
むち打ちにおいては、現状、治療期間が6ヶ月(180日)を超えないとかなり後遺障害の認定を受けるのは難しい印象です。
相手方保険会社から治療費の支払いを早期に打ち切られてしまったとしても、健康保険に切り替えて自己負担で6ヶ月以上通院を続ける必要があります。
 
2 整形外科(ないし整骨院)への通院頻度が少ない場合
自賠責は、事故による症状が重ければ、それだけリハビリ等の通院の回数が増えるはずだ、と考えているように思われます。
そのため、整形外科への通院が月に1回だけなど、通院回数が少ない場合、認定のハードルが高まる印象です。
症状が強いようでしたら、少なくとも整形外科に週に1回程度(月に4回程度)は通院をして、治療を積極的に受けた方が後遺障害の観点ではプラスに働くと思われます。
整骨院への通院も評価はされているのですが、後遺障害の場面だけで考えると、整形外科の方が重視されている印象があります。
 
3 時間が経過してから医師に症状を伝えた場合
最初の受診時に症状が全て発現していて、それらの症状を医師に全て伝えている場合、あまり問題は生じないのですが、被害者の方によっては、事故当初、最も強い症状だけを医師に伝えているケースがあります。
それで、最も強い症状が緩和されてきた時点で、初めて他の症状が気になりだして医師に伝えるというケースが散見されます。
それが事故から1~2週間以内とかであれば良いのですが、1ヶ月とか2ヶ月経過してから医師に伝えて、そこで傷病名が初めて付けられた症状に関しては、認定を受けるのが難しくなります。
 
あるいは、事故当初は頚部痛だけだったものが、1週間くらい経過してから手のしびれが出てきたというケースも散見されます。このような場合、診察のタイミングが手のしびれが出て、すぐであれば問題は生じにくいです。
しかし、3週間後とかに診察の予定が入っていて、その時点で初めて医師が手のしびれを認識したという場合、そのタイミングで初めてカルテに症状が記載されます。後日、自賠責の調査が入った場合、手のしびれに関して、医師が発症時期として記載するのは事故から3週間後になってしまいますので、手のしびれに関しては認定を受けるのが難しくなってしまいます。
とにかく、症状に関しては、事故からできるだけ間がないタイミングで、漏れなく、タイムリーに医師に伝える必要があります。
 
4 事故後、時間が経ってから通院を開始している場合
事故から、初診まで、1週間以上の時間が経過していると、事故と症状との因果関係が曖昧なものとなりますので、非該当となる可能性が高まります。
したがいまして、少しでも体に変調を感じたのであれば、事故当日か遅くとも翌日には通院されることをお勧め致します。
 
5 通院を中断している場合
通院の途中で、通院を止めてしまい、数週間以上、期間を開けてしまうと、その時点で症状が軽快したため通院を止めたと考えられるため、非該当になる可能性が高くなります。
現実には、症状が重いが故に、通院するのが辛くて通院できなかったというケースも有り得ますが、そういった個別具体的な事情は、少なくとも自賠責保険の認定においては認められ難いので、注意が必要です。
症状がある以上、継続的に間を開けずに通院を続けられることが肝要です。
 
6 事故から数ヶ月経ってから症状が増悪している場合
むち打ちの場合、通常、事故から間がない時期が最も症状が重く、そこから徐々に改善していくという経過を辿るのが一般的です。したがいまして、事故後、通院を継続していたが、数か月経過してから、症状が悪化したような場合には、事故との因果関係が認められがたく、非該当になる可能性が高くなります。
 

後遺障害診断書の記載に問題がある場合

1 症状が改善する趣旨の記載がなされている場合
後遺障害は、症状が一生涯残存するか否かという観点で調査されています。
そのため、「改善が見込まれる」「いずれ緩解する可能性がある」等、症状が改善する可能性があるような記載がなされていると非該当の可能性が高い印象を受けています。
実際に、症状が改善するのであればそれは仕方ないのですが、医師によっては、患者の心情を慮って、特段の根拠なく、改善の見込みが有るようなことを記載されているケースも目にしますので、注意が必要です。
 
2 傷病名が漏れてしまっている場合
比較的大きな事故で、多数箇所に骨折が生じているような場合、首や腰に症状があっても、「頚椎捻挫」や「腰椎捻挫」の診断名が漏れてしまっているケースがあります。
診断名が漏れてしまっていると、最終的に頚部痛や腰痛が残存したとしても、認定を受けるのはかなり難しい印象です。
そのため、自覚症状に適合した傷病名が記載されているか否かは、後遺障害診断書を受領した時点で確認する必要があります。
もし、傷病名が漏れていたとしても、事故直後から症状があったことがカルテに記載されていて、医師もそれをきちんと認識しているようなケースでは、事故日に遡って傷病名を付けて頂けることもあります。
 

症状が軽微な場合

1 症状が常時生じているわけではない場合
疼痛に関しては、「常時」、症状が生じていることが、認定要件となっています。
したがいまして、「動かした時だけ痛みが生じる場合」「気圧の変化により痛みが生じる場合」「長時間立ちっぱなしの時に痛みが生じる場合」は、常時の疼痛ではありませんので、認定の可能性が低い印象を受けています。
 
2 コリとかハリの場合
弱い痛みに関して、日本語的にピッタリくるということで、「コリ」とか「ハリ」と表現される方がいらっしゃいます。しかしながら、むち打ちの後遺障害の対象となる自覚症状は、基本的に「痛み」「しびれ」です。
後遺障害診断書の自覚症状欄に「コリ」とか「ハリ」と書かれてしまうと認定が難しくなる印象を受けています。「痛み」なのか「コリ」なのか「ハリ」なのかは、厳格に区別して医師に伝える必要があります。

その他

1 頚部や腰部のMRI画像を撮影していない場合
数年前まで、MRIを撮影していなくても、事故が甚大で、整形外科への通院をしっかりとしているといった事情により、14級が認定される方もいらっしゃいました。
しかしながら、近時(令和5年)は、頚部や腰部のMRI画像を撮影していないと、14級認定はかなり難しい印象を持っています。
ほとんどの被害者の方がレントゲン撮影をしていますが、基本的に、レントゲンでは骨折や骨棘の有無等、骨のことしか分かりません。
MRI画像を撮影して初めて、頚部や腰部に、痛みや痺れといった神経症状の原因となる所見があるか否か、ある程度明確になるということが大きいように思われます。
 
また、主治医がMRIの撮影が必要と判断しているか否かも見られているように思われます。治療終了までMRIを撮影していないということは、主治医がそれほど重い症状だと考えていないと見做されているのかもしれません。
(ただ、実際は、主治医は手術の必要性があるか否かという観点からMRI撮影の要否を判断している印象があります。つまり、手術の必要性が有る場合には、症状の原因を明確に特定する必要があるためMRI撮影をしているように思われます。)
 
2 若年(10代、20代)の場合
自賠責調査事務所は、10代や20代の若年者においては、症状が改善する可能性があると考えているのか、40代、50代以降の高齢の被害者の方より、14級が認定されにくい印象を持っています。
若年者においては、頚椎や腰椎に経年性の変性がないか、有っても変性の程度が微小なことが多いため、痛みや痺れといった神経症状が永続的に続くとは考えにくいと判断しているのかもしれません。
正直、合理的な理由は乏しいように思いますが、10代、20代の方のむち打ちによる14級認定はハードルが高い印象があります。

むち打ちで異議申立(再申請)により、14級の認定を受ける方策

上記のような場合に、後遺障害非該当と判断されてしまうのですが、異議申立(再申請)により、14級が認定されることもあり得ます。
以下のページに、異議申立(再申請)により、14級の認定を受ける方策を詳述しておりますので、ご確認下さい。