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桝田・丹羽法律事務所

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岡山地裁平成26年9月30日判決

事案の概要

平成22年9月17日 受傷(信号待ち停車中に追突された。修理代12万円)
平成23年8月  6日 症状固定(自賠責14級認定)
 

自賠責保険の判断

自賠責保険は、左側回旋時の後頚部痛、下を向いて作業時の後頚部から肩甲帯周囲の疼痛について、後遺障害等級14級9号を認定しています。
原告は、椎間板ヘルニアによる頚椎神経根障害であるとして、12級13号の主張をして、訴訟を提起しています(1663万3779円の請求)。
 

裁判所の判断

岡山地裁は、
①原告の主張に沿う医療記録の記載は、Cクリニックの医療事務主任が記載したものであり、医師の記載との整合性がない。
②修理費が低額である。
③事故の4日後に初めて受診している。
等を理由に、原告の陳述及び供述は信用できないとして、請求を否定しています。

原告の症状については、医療記録から、平成23年5月28日に治癒したと認定しています。
当然ですが、その結果、後遺障害慰謝料も後遺障害逸失利益も否定されています。
 
最終的に通院慰謝料と弁護士費用のみを損害として認めて、金113万円の判決が下されています。
 

広島高裁岡山支部(平成27年3月12日判決)の判断

本件は控訴審でも争われています。
 
広島高裁岡山支部(平成27年3月12日)は、
①平成23年8月6日に疼痛治療薬であるノイロトロピンの休止の判断がなされており、その時点で、疼痛治療薬が必要でない程度に症状が消失していた
②後遺障害診断書の自覚症状は、体動時痛であり、常時痛ではない
③症状が平成23年8月6日以降も継続していた証拠はない
等を理由に後遺障害を否定しています。
 
高裁においては、治癒したとまでは認定していませんが、やはり後遺障害が残存したとも認定できないとしています。
 

弁護士の所感

修理代が12万円と大きくない事故であったことが裁判官の心証形成に大きな影響を与えたと考えられます。
 
また、休業損害について、事故の4日後から新たな勤務先で就労を開始する予定であったとの主張がなされていますが、それまでの経歴と無関係の職であるにもかかわらず、支払が予定されていた給与の金額が高額に過ぎており、休業損害の主張自体、裁判官に完全に否定されています。
裁判官に休業損害の主張について疑念を抱かれたことも、後遺障害の判断に悪影響を与えたと推測されます。
 
後遺障害以外の部分の主張についても、あまり無理な主張をすると、1番重要な後遺障害の部分に波及する恐れがありますので、注意が必要となります。