非接触事故の過失割合について
2017/11/14
交通事故という場合、車両同士、あるいは車両と歩行者等が接触・衝突したことを想定しがちです。
しかし、当事者同士が接触・衝突しない場合(非接触事故)について、ご相談を受けることも少なくありません。
例えば、被害車両が直進走行中、対向車線を走行していた加害車両が突然、Uターンして、被害車両の直前に進入してきたため、被害車両が加害車両への衝突を避けるために、急ブレーキと急ハンドルを切って、衝突を回避したものの、ガードレールに衝突してしまった場合などが挙げられます。
非接触事故の場合、加害者側から、「相手が勝手に事故を起こしただけで、自分には落ち度がない」などという主張がなされることがしばしばあり、紛争が複雑化することがあります。
非接触事故の事故態様にもよりますが、「相手が勝手に事故を起こしただけで、自分には落ち度がない」等という言い分が認められることは多くはありません。
実際には、加害者の運転態様と当該事故との因果関係自体は肯定されて、主たる争いは過失割合になることが多いように見受けられます。
非接触事故に関する従前の裁判例においては、被害者の事故回避措置の適切性、加害者による被害者の走行妨害の程度や加害者の判断の不適切性の程度等を考慮して、過失割合が判断されています。
被害者の事故回避措置が不適切な場合、過失割合が不利に判断される可能性がありますが、事故回避措置の適切性は、どのように判断されるべきでしょうか。
この点、被害者が、加害者の過失により衝突事故が今にも発生してしまうという時間的・空間的・心理的に切迫した状況に置かれていることを踏まえれば、余りに高度の事故回避措置を要求するのは酷だと思われます。
事案ごとの個別判断が必要になりますが、その時点における事故回避措置として一定の合理性が認められる場合には、被害者の過失割合を重く判断するのは適切ではないと思われます(私見)。
非接触事故における関係当事者の過失の有無や程度については、事案ごとの慎重な判断が必要です。
非接触事故で、相手方から提示された過失割合に納得がいかない場合には、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士 桝田泰司
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