個人事業主において、売上額や所得額に変動がない場合の休業損害について
2017/12/23
休業損害とは、被害者が事故による負傷の治療又は療養のために休業又は不十分な就業を余儀なくされ、それによって治療期間中に得られたはずの収入が得られなかったという、過去に得られたはずの利益を意味すると考えられています。
個人事業主の方が交通事故に遭われた事案において、治療期間の売上額や所得額が事故前とほとんど変わっていないという場合が見受けられます。
このような場合、加害者の保険会社は、収入が減っていないのであれば休業損害は発生していないなどと主張して、休業損害の賠償に応じてくれないことが多いように思われます。
しかしながら、以下のような場合には、休業損害の発生が認められて然るべきです。
①交通事故が発生していなければ事故前よりは多い売上額や所得額を得られたであろうといえる場合
②休業期間における売上額や所得額が事故前と変わっていなくとも、それが被害者の特段の努力によるといえる場合
③近い将来売上額や所得額が減少することが高度の蓋然性をもって予測できる場合
裁判官作成の文献よれば、個人事業主の休業損害について、裁判所は、例えば前年同期の売上額との比較、売上や仕入の相手方の変化や金額の変遷、事業主の勤務形態と業務遂行上の位置づけ等の視点から、事業主の提出する帳簿類とそれを説明する陳述書等を基礎資料とし、できる限り休業損害の実態を把握することに努めるという趣旨の記載があり、このような考え方は参考になります。
当職としては、できる限り正確に休業損害の実態を把握し、適正な賠償が実現されるよう、尽力していきたいと考えております。
個人事業主の方で休業損害についてご懸念がある場合は、お気軽にご相談下さい。
弁護士 桝田泰司
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