自保ジャーナルNo.2099号に弊所で担当した事案が掲載されました
2023/07/02
自賠責保険で非該当の判断が示されていた被害者について、札幌地方裁判所が後遺障害等級併合12級を認定したケースです(札幌地裁令和3年3月25日判決)。
事案の概要
追突事故により被害者が中足骨骨折等の傷害を負った事案です。
自賠責保険が中足骨骨折について、事故との因果関係を否認するという判断をしたため、札幌地方裁判所に民事訴訟を提起しました。
その結果、因果関係が肯定され、後遺障害等級12級13号が認定されました。
当該地裁判決に対して、相手方は控訴して争ってきましたが、札幌高裁においても、後遺障害等級12級を前提とした和解により解決に至りました。
後遺障害等級12級認定の要因
訴訟提起前から、当方において、主治医に複数回にわたって医学的意見をお聞きしました。
さらに、画像鑑定専門家の意見を確認するなどして、慎重に訴訟活動を進めていき、訴訟提起から約2年半をかけて解決に至りました。
(医学的知見に基づいた適切な主張・立証が一貫してなされているかどうかという点は大変重要であり、そのための事前準備が結果に大きな影響を与えることになります。弊所では、訴訟提起前に十分な調査を行うようにしております。)。
本件については、裁判所で鑑定が採用され、裁判所が選任した鑑定医から、当方の主張内容に沿う内容の医学的意見が示されました。
この点が、裁判所の判断に大きな影響を及ぼしたと思われます。
自賠責保険の判断は限られた資料に基づき行われるものであり、100%正しいものとは限りません。
民事訴訟において判断が変更されることも稀ではありません。
自賠責保険の後遺障害認定(異議申立を含む。)は、大量の案件が定型的な資料に基づき比較的短期間に判断されています。
一方、「訴訟においては、当事者の主張立証に基づく個別的な事案ごとの結果の妥当性が尊重されるべき」(最判平成18年3月30日民集60巻3号1242頁)と考えられており、両者において判断が異なることは少なくありません。
ご自身に残存した自覚症状と自賠責保険の後遺障害認定にズレを感じ、疑問を感じたような場合には、お気軽にご相談ください。
訴訟提起によって、自賠責保険とは異なる判断が示されることもございます。
弁護士 桝田 泰司
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