交通事故の被害者側に特化した札幌の法律事務所

桝田・丹羽法律事務所

  • 過失相殺

過失割合を判断する上で重要となる資料について

2017/08/10

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交通事故において、過失割合が問題となり、交渉が難航することは少なくありません。
 
実務において、過失割合を判断する際、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」という裁判官が作成された書籍がほぼ参照されます。
 
こちらの本では、事故類型別に基本となる過失割合と修正要素が定められています。
 
そのため、過失割合の判断の流れとしては、まず事故類型を判断して、その類型に当てはまる基本過失割合を別冊判例タイムズ38で確認した上で、修正要素にあたる事実を考慮し、最終的な当該事故における過失割合を判断することになります。
 
以下では、過失割合の判断、特に事故類型と修正要素を判断する上で重要となる資料について、主なものをご紹介したいと思います。
 
①ドライブレコーダーの映像
ドライブレコーダーの映像は、事故の様子をありのままに写したものですから、車両に搭載されて録画されていれば、事故類型や修正要素を判断する上で、非常に重要な資料となります。
 
②事故現場付近の防犯カメラ映像
事故現場付近の防犯カメラに事故の様子が写っている場合、これも①と同様、非常に重要な資料となります。
ただ、事故現場付近に防犯カメラがあるか否かは偶然の事情ですし、設置場所によって、映ってはいるものの見えづらく、事故態様が把握しづらいこともあります。
 
③事故直後の写真
事故直後に事故現場の写真を撮っていた場合、車の停止状況や車両の損傷部位から、ある程度事故類型や修正要素を推測できる場合があります。
ただ、交通事故に遭われてパニックになっていたり、ケガをされている場合に、写真を撮るということはなかなか難しいといえます。
 
④車の損傷状態の写真
車の損傷状態の写真から、事故類型や修正要素を推測できる場合があります。
こちらは、修理費を見積もる際に写真が撮られることが多く、相手方保険会社から資料として取り寄せられること、事故に遭われた後しばらく経ってからでも撮影できることから、入手しやすい資料といえます。
 
⑤実況見分調書
実況見分調書とは、警察官が、事故の当事者等から話を聞いた上で作成する事故の状況を再現した図面です。
第三者である警察官が、当事者の話を聞いた上で作成するものですから、資料としての信用性が高く、事故類型を把握しやすい資料です。
こちらは、人身事故として処理された場合に作成され、作成された場合には入手しやすい資料です。
ただ、実際に作成された図面が言い分と異なっているということも少なからずあります。また、一方当事者が救急搬送されるなどして、現場にいない場合、他方の当事者の言い分のみを基に作成される場合もあります。
よって、事故後、警察官から話を聞かれた際には、しっかり自分が認識した状況を伝えるということも重要です。
 
⑥事故当事者の証言
もちろんではありますが、事故に遭われた方の証言は、過失割合を判断する上でのスタートラインとして、重要な資料となります。私たち弁護士も、まずはご依頼人の話を詳細に伺うことからスタートします。
ただ、交渉の場面では、両者の言い分の違いから水掛け論となることも少なくありませんので、事故当事者の証言を裏付ける資料の収集が重要となります。
 
以上、過失割合を判断する上で重要な主な資料について、紹介させて頂きました。事故の前から備えられるものとしては①、事故の後に注意できるものとして③④⑤⑥があるといえるでしょう。
 
過失割合の判断は、専門的知識を必要とすることが多く、資料の収集も極めて重要です。
過失割合についてお困りの方は、専門的知識を有し、資料の収集方法にも精通した弁護士にご相談されることをお勧めします。
 
弁護士 水梨雄太

駐車場内での事故における過失割合について

2017/07/14

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交通事故というと一般的には、公道上での事故を想像しがちです。
しかし、実際には、交通事故全体の約3分の1程度は、駐車場内で発生しています。
 
法律相談にいらっしゃる被害者の方の話を聞いていても、駐車場内での事故というのが一定の割合で散見されるところです。
 
現在、自動車事故の過失割合については、東京地裁の交通事故専門部の裁判官が作成された別冊判例タイムズ38の基準が重用されています。
任意協議では、ほぼ、別冊判例タイムズ38の過失割合がベースとなって話し合いが行われます。
そして、多くの事案では、別冊判例タイムズ38に記載されている修正要素が認められるか否かが、議論の中心になっています。
 
しかしながら、この別冊判例タイムズ38には、駐車場内の事故の過失割合の類型図が、【334】から【338】の5パターンしか掲載されていません。
車両同士の事故に限れば、【334】【335】【336】の3パターンしか掲載されていません。
 
【334】は、駐車場内の通路の交差部分における四輪車同士の出会い頭事故についての図であり、過失割合は、50:50とされています。
 
【335】は、駐車場内の通路を進行する四輪車と駐車区画から通路に進入しようとする四輪車との事故についての図であり、過失割合は、通路進行車:駐車区画退出車=30:70とされています。
 
【336】は、駐車場内の通路を進行する四輪車と通路から駐車区画に進入しようとする四輪車との事故についての図であり、過失割合は、通路進行車:駐車区画進入車=80:20とされています。
 
これらの3パターンで駐車場内の車両同士の事故の過失割合が全て整理できるのかといえば、そんなことは全くありません。
 
そもそも、駐車場というのは、形態が千差万別です。
大型スーパーの駐車場、コンビニエンスストアの駐車場、コインパーキングの駐車場と少し考えただけでも、全く異なる形態の駐車場が存在することが分かります。
また、駐車区画退出車と駐車区画進入車同士の事故も当然、容易に想定されるわけですが、パターンに入っていません。
 
したがって、これらの3パターンに当てはまらない駐車場内の事故類型については、過失割合を定める際に、協議が難航することが少なくありません。
 
我々弁護士は、過失の本質である予見可能性を前提とした結果回避義務違反の有無ないし程度について、議論をするわけですが、この過失概念自体、一般の方には分かり難いところです。
 
正直、交渉相手となる保険会社担当者も、過失の本質については、十分に理解していないことが少なくないです。
 
そのため、保険会社は、別冊判例タイムズ38の類型と異なっていても、とにかく、【334】【335】【336】の3パターンのいずれかに無理矢理当てはめて、過失割合を定めようとしてくることが少なくないです。
 
そうした場合、議論が全くかみ合うことはなく、協議が難航することになります。
結局、最後には、精度の高い過失割合の判断を求めて、訴訟を提起して、裁判官に判断を仰ぐことになってしまいます。
 
弁護士に依頼されているケースでは、訴訟により適正な解決を図ることが可能ですが、そうでない被害者の方は、実態にそぐわない過失割合での解決を余儀なくされているのではないかと推測されるところです。
 
駐車場内の事故における過失割合は、問題となりやすい一場面です。
駐車場内の事故に遭われて、保険会社の説明する過失割合に納得が行かない場合は、お気軽にご相談下さい。
 
弁護士 丹羽 錬
 

札幌市の自転車事故の状況

2016/04/24

現在、事務所内の勉強会で、自転車同士の事故の過失割合について、文献を読み込んでいます。
交通事故の過失割合については、別冊判例タイムズ38の基準をベースに実務は動いています。
しかし、別冊判例タイムズ38には、自転車対歩行者、自転車対自動車の過失割合は載っているのですが、自転車対自転車の過失割合は載っていません。
そこで、現在、検討が進められています。
 
自転車を運転する際、注意すべき点は、無灯火、傘を差しながらの片手運転、イヤホン・ヘッドホンを付けながらの運転など、街中で実際に見かけることの少なくない運転態様が、事故が発生した場合には、著しい過失として取り扱われることです。
 
自転車による事故ですが、昨今、マスメディアでも盛んに報道されているような印象を持っています。
当事務所にも、マスコミから取材の問合せが来ることもあります。
 
では、実際には、自転車による事故は増えているのでしょうか。
自転車対歩行者ないし自転車対自転車の事故の年間発生件数(全国)のデータです。

 年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
自転車対歩行者 2783 2869 2959 2946 2770 2806 2625 2605 2551
自転車対自転車 4055 4184 4348 3919 3799 3616 3260 3037 2865

自転車対歩行者の事故は、10年くらいほぼ横ばいでやや減少しています。
自転車対自転車の事故は、減少傾向にあります。
 
では、札幌市における状況はどうでしょうか。

 年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年
自転車対歩行者  1  5  4  5  9  13  14  15  22
自転車対自転車  1  4  1  6  2  10  5  7  9

札幌では、冬場、自転車に乗る人は、極めて少なくなります。
その影響もあり、事故の数自体、非常に少ない状況です。
データとしては、少し古いですが、増加していることが見て分かります。
全国的な推移と大きく異なる理由について、その分析は難しいのですが、1つには自転車に乗る人が増えているということが上げられるのではないでしょうか。
 
以下のとおり、自転車が加害者になる事故においても、近時、高額の賠償責任が認められた事案が少なくありません。
 
東京地方裁判所平成15年9月30日判決 6779万円
東京地方裁判所平成19年4月11日判決 5438万円
東京地方裁判所平成20年6月 5日判決 9266万円
 
事故の数が少ないとはいえ、自衛のためには自転車保険に加入する必要があるといえます。
 
弁護士 丹羽 錬
 
 
 

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当事務所は、交通事故の被害者側に特化した法律事務所です。交通事故事件に関する十分な専門性・知識・経験を有する弁護士が事件を担当致します。
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