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桝田・丹羽法律事務所

ホステス、スポーツ選手など、特殊な職業の方の逸失利益について③

2015/06/11

流行に左右される職業あるいは年齢的な制限のある職業等について、その職業に基づく収入を一定期間まで認めて、それ以後は、賃金センサス等の平均賃金を参考に逸失利益を算定するという手法を採用した裁判例は、以下のとおりです。
 
-競艇選手-
【東京高判平成9年1月29日判決】
症状固定時39歳の男性の事案
47歳まで競艇選手としての収入(年580万659円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子高卒45歳~49歳平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
-競輪選手-
【広島地判平成17年9月20日判決】
症状固定時45歳の男性の事案
55歳まで競輪選手としての収入(48歳まで年2204万9878円、55歳まで年1642万円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子学歴別平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
-レーサ-
【東京地判平成15年10月29日判決】
事故時39歳の男性の事案
45歳までレーサーとしての収入(年915万1807円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子大卒45歳~49歳平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
-パチンコ釘師-
【仙台高判平成8年1月29日判決】
症状固定時49歳の男性の事案
52歳まで釘師としての収入(月額120万円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子学歴計年齢別平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
短期的に高額の収入を得ている、いわゆるデイトレーダーが事故に遭ったような場合にも、同様の考え方が適用される可能性があります。
したがいまして、デイトレーダーが事故に遭ったような場合には、適正な逸失利益を獲得するために、過去の実績や将来の可能性について、丁寧に主張・立証していく必要があるといえます。
 
 
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ホステス、スポーツ選手など、特殊な職業の方の逸失利益について②

2015/06/10

ホステス、競輪選手、競艇選手、レーサー、パチンコ釘氏等、流行に左右される職業あるいは年齢的な制限のある職業等について、その職業に基づく収入を一定期間まで認めて、それ以後は、賃金センサス等の平均賃金を参考に逸失利益を算定するという手法を採用した裁判例は、以下のとおりです。
 
-ホステス-

ホステスに関しては、以下のとおり、30歳、33歳、35歳、45歳まで、ホステスとしての収入を認めて、それ以後は、賃金センサスによる収入で認定されています。
ホステスの具体的な態様次第ではありますが、裁判所は、概ね30代半ばくらいまでは、ホステスとして高額の収入を得られる蓋然性があると考えているようです。

【大阪地判平成10年10月19日判決】
死亡時28歳の女性の事案
33歳までホステスとしての収入(年691万4268円)
その後、67歳まで、賃金センサス女子学歴計30~34歳の平均賃金(年370万4300円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
【福岡地判平成12年9月20日判決】
死亡時25歳の女性の事案
30歳までホステスとしての収入(年432万1600円)
その後、67歳まで、賃金センサス女子学歴計30~34歳の平均賃金(年384万4600円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
【東京地判平成16年3月23日判決】
症状固定時時40歳の女性の事案
45歳まで女優及びホステスとしての収入(日額2万421円)
その後、60歳まで、賃金センサス全労働者全年齢平均賃金(年487万9700円)
その後、67歳まで、賃金センサス女子学歴計全年齢平均賃金(年329万4200円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
【名古屋地判平成21年8月28日判決】
症状固定時22歳の女性の事案
35歳までホステスとしての収入(年477万1280円)
その後、67歳まで、賃金センサス全労働者全年齢平均賃金(年343万4400円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
 
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ホステス、スポーツ選手など、特殊な職業の方の逸失利益について①

2015/06/09

交通事故により、後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害の影響による労働能力の低下について、将来の逸失利益が損害として認められています。
 
一般的には以下のような数式で、逸失利益は算定されています。
 
事故前の現実収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間
 
労働能力喪失期間については、通常、67歳までと考えられています。
しかし、ホステスやスポーツ選手など、基本的に一定年齢までが、高収入で、一定年齢を過ぎると、若い頃の収入を維持することが困難ともいえる職業に就いている人々の労働能力喪失期間については、若干の検討が必要といえます。
 
実際、裁判例においては、流行に左右される職業あるいは年齢的な制限のある職業等については、その職業に基づく収入を一定期間まで認めて、それ以後は、賃金センサス等の平均賃金を参考に逸失利益を算定するという手法が散見されます。
 
平成11年11月22日付けのいわゆる三庁合同提言においては、高校卒業後すぐにプロ野球の選手となり、一軍で活躍している28歳の男子で、事故前の年収が6000万円の事例について、
「6000万円という高収入は、プロ野球選手だから得られるところ、少なくとも30歳代前半まではプロ野球選手として活躍できるものと考えられるから、28歳から32歳までの5年間は年収6000万円を基礎収入として、その後はプロ野球選手を引退することを前提として、何か統計的な数字があればともかく、そうでなければ、全年齢平均賃金を基礎収入として67歳までの逸失利益を算定する。」とされています。


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