交通事故の被害者側に特化した札幌の法律事務所

桝田・丹羽法律事務所

自転車の通行ルールと過失割合

2017/12/15

mizunashi.JPGのサムネール画像のサムネール画像
交通事故において、自転車と四輪車・単車の事故は、しばしば見られます。
当事務所においても、自転車に乗っている際に四輪車・単車と衝突する交通事故に遭い、ご相談に来られる方がいらっしゃいます。
 
自転車と四輪車・単車の事故においても、過失割合が問題になることが多いです。
実務上過失割合の算定において参照される別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」という書籍においても、「自転車と四輪車・単車との事故」という独立の項目が設けられています。
 
その中において、自転車側の過失割合を加算する要素も何点か記載されています。これらは、道路交通法に定められた自転車の通行ルールに基づくものが多いです。すなわち、自転車の通行ルールに違反して事故に遭った場合には、自転車を運転していた側に、過失が加算されることがあります。
したがって、あらかじめ自転車の通行ルールをいくつか知っておくことは有益です。
 
1 自転車が通行すべき場所
道路交通法上、自転車は「軽車両」とされており、原則として、自転車は道路もしくは路側帯を通行することと定められています。
また、自転車は原則として道路の左側部分を走行しなければならないと定められています。
 
簡単に言えば、道路を走行する際には、自転車も自動車と同じように左側通行をしなければならないということになります。右側通行をすると、道路を逆走する形になって危険ですから、これは常識的にも理解しやすいかと思います。
よって、自転車で道路上を右側通行した場合には、過失を加算される場合があり得ます。
なお、自転車道がある場所では、自転車道を通行しなければなりません。
 
2 歩道を通行できる場合
もっとも、現在の一般の交通事情として、自転車に乗る際、歩道を走行されることが多いのではないかと推測致します。
 
道路交通法では、自転車のうち、車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽引していないものが普通自転車とされています。
この普通自転車については、以下の場合、歩道を通行できる旨が定められています。
 
ⅰ 道路標識等によって普通自転車の歩道通行が許されている場合
ⅱ 運転者が幼児・児童(13歳未満)、高齢者(70歳以上)である場合
ⅲ 道路の状況、自動車の交通量やその他の状況から、歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合
 
よって、ⅰ~ⅲ以外の場合に、普通自転車で歩道を通行した場合には、過失を加算されることがあり得ます。
 
なお、自転車の車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合していない場合は、そもそもⅰ~ⅲに該当する場合でも、歩道を走行できないということになりますので注意が必要です。
 
3 歩道を通行する際のルール
2の歩道を通行できる場合でも、歩道を通行する際には、以下のルールがあります。
 
ⅰ 歩道の中央から車道寄りの部分を通行すること
ⅱ ⅰの部分を徐行すること
ⅲ 歩行者の通行の妨げになる場合には、一時停止すること
 
よって、歩道の通行が許されている場合でも、ⅰ~ⅲに違反した場合には、過失を加算されることがあり得ます。
 
4 その他のルール
その他、以下の場合などには、過失を加算される場合があり得ます。
 
ⅰ 酒気を帯びて自転車を運転した場合
ⅱ 自転車を2人乗りで運転した場合
ⅲ 夜間に無灯火で運転した場合
ⅳ 2台以上の自転車で並進した場合
ⅴ 傘を差しながら片手で運転した場合
ⅵ 携帯電話で通話しながら、または画面を注視しながら運転した場合
 
このような自転車の通行ルールについては、意外と知らなかったという方も多いのではないかと思われます。
 
交通事故に遭わないことが一番ですが、万が一事故に遭ってしまった場合に備えて、あらかじめこのような自転車の通行ルールを知っておくことが肝要です。
 
ただ、事故に遭ってしまった場合でも、過失割合は事故の具体的状況により変動する可能性があります。
自分の事故の過失割合はどうなるのか、保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかない等、お困りの際には、専門的知識を有する弁護士に相談することをお勧め致します。
 
弁護士 水梨雄太
 

非接触事故の過失割合について

2017/11/14

CIMG2260.JPGのサムネール画像交通事故という場合、車両同士、あるいは車両と歩行者等が接触・衝突したことを想定しがちです。
しかし、当事者同士が接触・衝突しない場合(非接触事故)について、ご相談を受けることも少なくありません。
 
例えば、被害車両が直進走行中、対向車線を走行していた加害車両が突然、Uターンして、被害車両の直前に進入してきたため、被害車両が加害車両への衝突を避けるために、急ブレーキと急ハンドルを切って、衝突を回避したものの、ガードレールに衝突してしまった場合などが挙げられます。
 
非接触事故の場合、加害者側から、「相手が勝手に事故を起こしただけで、自分には落ち度がない」などという主張がなされることがしばしばあり、紛争が複雑化することがあります。
非接触事故の事故態様にもよりますが、「相手が勝手に事故を起こしただけで、自分には落ち度がない」等という言い分が認められることは多くはありません。
実際には、加害者の運転態様と当該事故との因果関係自体は肯定されて、主たる争いは過失割合になることが多いように見受けられます。
 
非接触事故に関する従前の裁判例においては、被害者の事故回避措置の適切性、加害者による被害者の走行妨害の程度や加害者の判断の不適切性の程度等を考慮して、過失割合が判断されています。
 
被害者の事故回避措置が不適切な場合、過失割合が不利に判断される可能性がありますが、事故回避措置の適切性は、どのように判断されるべきでしょうか。
この点、被害者が、加害者の過失により衝突事故が今にも発生してしまうという時間的・空間的・心理的に切迫した状況に置かれていることを踏まえれば、余りに高度の事故回避措置を要求するのは酷だと思われます。
事案ごとの個別判断が必要になりますが、その時点における事故回避措置として一定の合理性が認められる場合には、被害者の過失割合を重く判断するのは適切ではないと思われます(私見)。
 
非接触事故における関係当事者の過失の有無や程度については、事案ごとの慎重な判断が必要です。
非接触事故で、相手方から提示された過失割合に納得がいかない場合には、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
 
弁護士 桝田泰司

交通事故セミナーの開催

2017/11/08

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平成29年10月22日に、北海道接骨師会様からのご依頼に基づき、交通事故セミナーを開催させて頂きました。
 
今回は、セミナーのテーマに関して、「弁護士の活用方法」「柔道整復師が訴訟に備えるべきこと」の2点のご要望がございましたので、これらのテーマを中心にお話しさせて頂きました。
 
事前に、セミナーに参加される先生方は、十分な経験を有する方ばかりと伺っておりましたので、初歩的な内容は割愛させて頂き、比較的、踏み込んだ内容をお話しさせて頂きました。
 
参加頂いた先生方は探究心が強い方ばかりで、皆様、非常に熱心に耳を傾けて下さいました。
 
質疑応答を含めて、120分との指定を頂いておりましたので、セミナーの内容自体は、おおよそ90分で終わりにして、質疑応答の時間を設けさせて頂いたのですが、非常に活発にご質問を頂くことができ、質疑応答の時間だけで、おおよそ60分を要することとなりました。
 
当事務所は、「交通事故の被害者に適正な賠償を受けてもらうこと」を使命としております。
日々、交通事故被害者の施術に尽力されている柔道整復師の先生方の交通事故に関する理解が、より一層深まれば、交通事故被害者の救済に繋がると考えております。
 
セミナーのご要望等がございましたら、お気軽にご連絡頂きましたら幸いです。
テーマも含めて、柔軟に対応致します。
 
弁護士 丹羽 錬
弁護士 桝田泰司
 

プロフィール

当事務所は、交通事故の被害者側に特化した法律事務所です。交通事故事件に関する十分な専門性・知識・経験を有する弁護士が事件を担当致します。
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