60代、女性、死亡
当事務所のサポートにより約金4990万円で解決した事案
保険会社の主張する過失割合70:30→訴訟により50:50
ご相談、ご依頼のきっかけ
被害者の方が赤信号の横断歩道の付近を斜めに歩いて横断していた際に、前方不注視の車に衝突されて、亡くなられたとのことで、事故から約4ヶ月の段階で、ご家族から、ご連絡を頂きました。
加害者の保険会社からは、過失割合について、被害者:加害者=70:30と説明されているとのことでした。
被害者に大きな過失があるケースなので、ご自身の自動車保険会社の人身傷害保険から保険金の支払を受けるようにいわれているが、そのような解決で良いのか、相談したいとのことでした。
当法律事務所の活動
まず、過失割合を分析する必要がありましたので、警察の作成した実況見分調書等の刑事記録を取り付けました。
人身傷害保険の取扱いも、近時は保険会社ごとに約款の内容が異なっており、精査する必要がありましたので、被害者の方の加入されている保険会社の約款を精査致しました。
損害の算定の際には、家事従事者であることの立証が必要だったため、内縁の方に連絡を取り、陳述書の作成を行いました。また、一定期間、同居していたことを証明するため、住民票の取得等を行いました。
警察の作成した刑事記録を分析しましたが、事故状況からすると、被害者にも一定の過失が認められることは避けられない事案と判断されましたので、加害者に訴訟を提起して、裁判所の判断を仰いだ上で、ご自身の保険会社から人身傷害保険金の支払を受けるという方策を選択することにしました。
当法律事務所が関与した結果
訴訟を提起したことにより、過失割合は、被害者:加害者=50:50とすることができました。
損害額については、裁判基準で算定され、一定の弁護士費用、遅延損害金等も認められました。
訴訟を提起しましたので、ご自身の保険会社からの人身傷害保険金についても、任意保険基準ではなく、裁判基準で算定されることとなりました。
最終的に、加害者からの損害賠償金、ご自身の保険会社からの人身傷害保険金を併せて、約金4990万円で解決することができました。
裁判所の判断でも、被害者の方に50%の過失が認められる事案でしたが、人身傷害保険金の支払を併せることで、最終的に、100%の損害賠償金を受領することができました。
弁護士の所感
本件では、相手方保険会社から、過失割合について、被害者:加害者=70:30と主張されていて、被害者の過失の方が大きいことから、ご自身の人身傷害保険から支払を受けるように説明されていました。
人身傷害保険では、恐らく自賠責保険の算定金額を支払うことを予定していたと思われるため、最終的な解決金額とは約2000万円程度、違いが出たと見込まれます。
近時、人身傷害保険については、保険会社ごとに、独自の約款を作り込んでいます。
被害者の方に過失がある場合、一般的には加害者に対して訴訟提起をした上で、その後、人身傷害保険の請求をするのが被害者にとって望ましいことが多いのですが、個々の保険会社の約款を詳細に確認しなければ、確定的なことをいえない状況になっています。
被害者の方に一定の過失が認められる場合には、人身傷害保険の請求の仕方で、最終的な受領額が大きく異なることが少なくありません。
特に死亡事故の場合、損害賠償金の額が大きいため、請求の仕方によって、最終的に数千万円の違いが出ることもあります。
死亡事故でご懸念がある場合は、必ず交通事故に精通した弁護士にご相談されることをお勧め致します。