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桝田・丹羽法律事務所

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脳損傷による麻痺

脳の損傷によって、身体に麻痺が生ずることがあります。
麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺及び単麻痺)、その程度(高度、中等度及び軽度)、介護の有無・程度によって、障害等級が認定されます。
四肢麻痺とは、両側の四肢の麻痺、片麻痺とは一側の上下肢の麻痺、対麻痺とは両上肢または両下肢の麻痺、単麻痺とは上肢または下肢の一肢のみの麻痺を意味します。
脳の損傷による麻痺については、通常、四肢麻痺、片麻痺または単麻痺が生じるとされ、対麻痺が生じることはないとされています。

等 級

障害の程度

1級1号(別表1)

高度の四肢麻痺
中等度の四肢麻痺ないし高度の片麻痺で要常時介護状態の場合

2級1号(別表1)

高度の片麻痺
中等度の四肢麻痺で要随時介護状態の場合

3級3号

中等度の四肢麻痺

5級2号

軽度の四肢麻痺、中等度の片麻痺、高度の単麻痺

7級4号

軽度の片麻痺、中等度の単麻痺

9級10号

軽度の単麻痺

12級13号

運動性、支持性、巧緻性、速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺


脳損傷による麻痺と、脊髄損傷による麻痺とでは、麻痺の範囲と程度が同じであっても、等級が異なるものがあるので注意が必要です。脊髄損傷による麻痺の方が重い場合がありますので、麻痺の原因を正確に特定する必要があります(例えば、中等度の四肢麻痺は、脳損傷によるものは3級ですが、脊髄損傷によるものは2級とされています。)。

麻痺の程度

内容

高度

麻痺が高度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものをいう。
(具体例)
①完全強直又はこれに近い状態にあるもの
②上肢においては、3大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
③下肢においては、3大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
④上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
⑤下肢においては、随意運動の顕著な障害により一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの

中等度

麻痺が中等度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをいう。
(具体例)
①上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500グラム)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
②下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であること

軽度

麻痺が軽度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものをいう。
(具体例)
①上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
②下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの