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桝田・丹羽法律事務所

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 高次脳機能障害の具体的な症状をご家族が正確に把握すべきこと

 
前述のとおり、自賠責保険は、高次脳機能障害について厳格な基準を定めており、交通事故により高次脳機能障害を発症したとの認定を受けること自体に一定のハードルが存在します。
しかしながら、高次脳機能障害との認定を受けたとしても、具体的な等級について、適正な認定を受けなければ、適正な賠償を受けることはできません。
 
高次脳機能障害は、脳外傷を示唆する画像所見に現れた異常の程度と、実際の症状の程度が、必ずしも相関しないといわれており、画像所見の内容から、具体的な等級を認定することはできません。
 
そうなると、具体的な等級は、自賠責保険に提出される

1 医師作成の「神経系統の障害に関する医学的意見」
2 家族作成の「日常生活状況報告」


により認定されるのであり、右2つの書類の記載が極めて重要ということになります。

 
自賠責保険は、医師作成の「神経系統の障害に関する医学的意見」と家族作成の「日常生活状況報告」に基づいて、以下の基準のどこに当てはまるのかを判断して、等級を認定しています。

等級ごとの障害の内容の記載を読んでいただければ分かりますが、5級、7級、9級の違いというのは、極めて微妙であり、医師やご家族が被害者の症状を十分に認識・理解していなければ、容易に軽い等級に認定されかねないのです。
 

等級

認定にあたっての基本的な考え方

1級
(別表1)

身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの

2級
(別表1)

著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

3級

自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

5級

単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

7級

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

9級

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの


 
しかしながら、医師は、被害者が退院してしまえば、後は定期的な診察の際、短時間、話をするだけで、必ずしも詳細に被害者の高次脳機能障害の症状を理解してくれているとは限りません。
また、被害者と同居するご家族が居たとしても、高次脳機能障害の症状というのは多彩かつ複雑であり、通常の骨折等による症状とは全く異なることから、ご家族が正確に症状を全て把握することは、かなり難しいのが実情です。
 
特に、ご家族は、長期間、被害者と生活を共にしていくため、次第に被害者の症状に慣れてしまい、それが症状なのか、元々の気質によるものなのか、判断ができなくなってくることがあります。
また、高次脳機能障害の症状として、被害者自身が元々有していた特質がより先鋭化されることも少なくありません。そうなると、ご家族には、被害者自身の元々の特質なのか、それとも、高次脳機能障害の症状なのか、判断ができなくなります。

したがいまして、
医師に伝えるべき症状の内容や、家族の作成する「日常生活状況報告」の記載方法については、高次脳機能障害に精通した弁護士等の専門家のアドバイスが欠かせないといえます。
「日常生活状況報告」の記載に悩まれた方は、お気軽にご相談下さい。
 
自賠責保険において、高次脳機能障害と認定された被害者の方の具体的な等級ごとの割合は以下のとおりです。
割合としては、1級、7級、9級が若干多いですが、必ずしも低い等級に集中しているというわけではありません。つまり、どの被害者も3級や5級といった高い等級に該当している可能性が否定できないのです。
そして、仮に認定された等級が2級違えば、少なくとも数百万円、多ければ数千万円、最終的な賠償金の額が異なってきます。

等級

平成21年実績

1級

   739件(22.3%)

2級

   437件(13.2%)

3級

   401件(12.1%)

5級

   426件(12.9%)

7級

   614件(18.5%)

9級

   696件(21.0%)

合 計

 3,313件


以上のとおり、高次脳機能障害と認定されたとしても、更に、具体的にどの等級に認定されるかが極めて重要な問題です。
すでに自賠責保険から、高次脳機能障害であるとして一定の等級が認定されているとしても、必ずしもその等級が適切なものとは限りません。
当事務所では、既に認定された等級が、被害者の症状に見合った適切なものであるのか否かという点から精査させて頂きます。
ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談下さい。