むち打ちで後遺障害等級12級の認定を受けるために
後遺障害等級12級の認定基準は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」とされていますが、具体的には、「症状が、神経学的検査所見や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明しうるもの」が該当するとされています。
症状を他覚的所見によって医学的に証明できることを要求している点で、自覚症状のみでも認められうる14級と大きく異なっています。
要件の概要
後遺障害等級14級の以下の3要件に加えて
1 事故態様が相当程度のものであること
2 事故当初から通院を継続しているこ
3 症状が連続・一貫していること
4 自覚症状と完全に整合する他覚的所見
(5 他覚的所見から外傷性であると認められること)
が必要となってきます。
詳細
4 自覚症状と完全に整合する他覚的所見
ここでいう他覚的所見とは、MRI等の画像所見や神経学的検査の結果を意味します。
12級においては、MRI等の画像にて、自覚症状と整合する部位に明確に所見が認められることが必要となります。
さらに、神経学的検査の結果についても、画像所見上、圧迫されていることが確認できる神経の支配領域と整合する必要があります。
整合する神経学的異常所見が認められた場合であっても、同時に異なる領域にも神経学的異常所見が認められる場合には、完全に整合するとはいえませんので、後遺障害等級12級は否定されて、14級とされる傾向があります。
後遺障害等級12級が認定されるには、自覚症状と画像所見、神経学的所見が過不足なくほぼ完全に整合する必要があるのです。
(5 他覚的所見から外傷性であると認められること)
事故直後に撮影されたMRI画像においては、出血痕や炎症所見が映ることがあり、それにより外傷性が基礎付けられることがあります。
外傷性で有ることが画像所見等から明確に確認できれば、12級と認定される可能性が高まります。ただし、画像所見等から明確に確認できない場合でも、現実に12級と認定されている場合もありますので、必須の要件とは言い切れません。
注意すべき点
・事故直後にMRI等の画像を撮影すること
事故直後の画像には外傷性を基礎付ける所見が認められる場合がありますので、事故後なるべく早い段階で、MRI等の画像を撮影する必要があります。
・神経学的検査は種類を絞って、正確に実施してもらうこと
神経学的検査は、沢山の種類があり、受ければ受けるほど、より正確に所見を把握できるともいえます。
しかし、その種類の多さゆえに、整形外科の医師であっても、全てに精通しているとは言い切れないのが現状です。多くの種類の神経学的検査を受けたものの、必ずしも正確でない方法によって、画像所見と一致しない部分にまで所見が認められるということになると、12級が認定されることは難しくなります。
そこで、神経学的検査は、自賠責保険が重視しているとされる一般的なものに絞って、行ってもらうことが重要です。ごく一般的な神経学的検査であれば、通常、検査結果は正確なものとなります。
むち打ちで12級の認定を受けた事案
現状、むち打ちで12級13号が認定されるのは、14級9号が認定される方の件数50件に対して1件くらいの印象です。
一昔前と比べて、むち打ちに関して、自賠責保険で12級の認定を受けるのは、かなり難しくなってしまっています。
当法律事務所のサポートにより、むち打ちで12級が認定された事案の一部をご紹介いたします。
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