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桝田・丹羽法律事務所

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神戸地裁平成3年3月26日判決

事案の概要

昭和63年  8月19日 受傷(停車中の加害車両の後部左側ドアが突然開き、被害車両(原付バイク)が衝突して転倒した事故態様)
昭和63年  8月29日 退院
昭和63年11月16日 症状固定(裁判所の認定)
 

診断名

頚椎捻挫、腰部捻挫、腰部左膝部打撲
 

裁判所の判断

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自賠責保険では後遺障害について、非該当と判断されているものの、原告の頭痛、頚部項部痛、肩甲部放散痛等について、後遺障害等級14級10号に該当すると判断しています。
 

判断の根拠

裁判所は、以下の事情を挙げて、原告の症状について、後遺障害等級14級10号に該当するとしています。
①XP画像上、第2-第3、第3-第4頚椎間に不安定性、頚椎のアライメントの不整あり。
②頚部運動制限あり。
 
それ以外にも、以下の事情が裁判官の心証に影響を与えたと判断されます。
①事故後、11日間入院していること
②事故後、約10ヶ月間通院していること
 
本件は、事故後、入院を余儀なくされていることは重視すべき事情ですが、それ以外には特筆すべき事情は見受けられません。
そうであるにもかかわらず、後遺障害等級14級が認められています。
 
しかしながら、本件で認められた労働能力喪失期間は、わずか1年間です。
 
本件では、事故後約10ヶ月通院しているにもかかわらず、事故と因果関係がある通院期間をかなり厳しく、3ヶ月に限定しています。
そことのバランスを取るために、14級を認定したように読み取れます。
そのため、労働能力喪失期間は、1年間として、さらにバランスを取っている感じがします。
 
一般化しにくい裁判例ですが、裁判の途中で、どうも普通の14級の認定が厳しいなという感じがしてきたら、こういう裁判例を証拠提出して、「少なくとも短期間の逸失利益を認めるべきである」という主張をすることは有り得るのかもしれません。