神戸地裁平成10年1月29日判決
事案の概要
平成7年9月29日 受傷(タクシーに乗客として乗車中に急ブレーキにより負傷した事故)
平成8年6月14日 症状固定
診断名
頚椎部挫傷、腰部挫傷、左上肢打撲、外傷性筋筋膜性腰痛症、頚肩腕症候群
裁判所の判断
自賠責保険では後遺障害について、非該当と判断されているものの、原告の頚部痛、腰痛、不眠について、後遺障害等級14級10号に該当すると判断しています。
判断の根拠
裁判所は、以下の事情を挙げて、原告の症状について、後遺障害等級14級に該当するとしています。
①主治医が後遺障害等級9級10号に該当すると診断している
②頚椎の5番と6番、6番と7番の間に変形性頚椎症が認められる
③本件事故後、経営していたカラオケ喫茶を閉店した
本件は、症状固定まで約8.5ヶ月とそれほど長期間ではなく、自覚症状を裏付ける他覚所見も脆弱であることからすると、後遺障害等級14級が認定される限界事例といえます。
判決書だけからでは分かりませんが、本人尋問の結果が裁判官の心証に大きな影響を与えたのかも知れません。
ただ、事故前に経営していたカラオケ喫茶を閉店しているという事実は、裁判官の心証に大きな影響を与えたであろうことは推測されます。