大阪地裁平成27年10月21日判決
事案の概要
平成22年4月7日 受傷(普通乗用車の後部座席に乗車して赤信号停止中、後方から追突された。修理費12万0160円)
平成23年7月4日 症状固定
自賠責保険の判断
頭部・項頚部痛等の症状について、後遺障害等級14級9号が認定されています。
原告は、後遺障害等級併合4級を主張して、既払い金を控除して、金7615万0626円を求めて、訴えを提起しています。
裁判所の判断
訴訟の中で原告が作成していたブログが証拠として提出されており、同ブログにおいては、以下の事実が明らかになっています。
①原告が歩行障害を訴えていたにもかかわらず、日常生活において、車を運転して外出していたこと
②原告が上肢の挙上困難を訴えていたにもかかわらず、普通に立って腕を頭上高く真っ直ぐに伸ばした状態の写真を掲載していたこと
その上で、裁判所は、頭痛や項頚部痛について、症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しく、ブログの記載を前提とすれば、原告に将来においても回復困難な障害が残存しているとは認めがたいとして、後遺障害の存在を否定しました。
最終的に、既払い金が損害額を上回っているとして請求自体が棄却されています。
弁護士の所感
①修理代が金12万0160円と低額であること
②症状に関する主張と矛盾するブログの記載
③自賠責保険が認めた後遺障害について他覚的所見が乏しいこと
が裁判官の判断に大きな影響を与えたといえます。
近時は、ブログやフェイスブックなどに自分の生活状況を記載される方も少なくない状況です。
訴訟提起前には、裁判官に誤解を抱かせる記載をしていないか確認する必要があるといえます。