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桝田・丹羽法律事務所

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大阪地裁平成5年3月8日判決

事案の概要

昭和62年8月12日 受傷(乗用車を運転中、加害車両のセンターラインオーバーで正面衝突された)
平成元年4月13日 症状固定(固定時24歳)
 

診断名

右上腕骨骨頭骨折
右肩甲骨骨折
下顎骨骨折
右示指中手骨骨折
 

自賠責保険の判断

→右肩関節の可動域制限で、10級10号の認定
(外転が2分の1+10度以下のため、参考可動域(伸展、外旋・内旋)で判断された)

   右  左
屈曲  150   180
伸展    25     50
外転     100   180
内転       20     35
外旋    -30     45
内旋        90     90
(全て他動値)
 

裁判所の判断(逸失利益)

喪失率 :15%
喪失期間:20年
 
事故時の職業:医学部学生、かつ父親が経営する会社の従業員(年収約186万円)
 
10級相当の喪失率27%としなかった理由
→内科医を選択した場合には減収に結びつかないとの理由のみ。
(喪失期間を限定した理由も特に記載なし)
 

弁護士の所感

被害者の具体的な職業が大きく考慮されたものと思われます。
内科医を選択すれば、収入には影響しないだろうと判断されてしまったようです。
あとは、主要運動である屈曲、外転は、それなりに動いているということも考慮されたのではないかと推測されます(屈曲は健側の83%、外転は健側の56%)。
 
結果論になりますが、任意交渉ないし交通事故紛争処理センターへの申立により、相応の金額の提案がなされれば、それで解決するということも考えられた事案かもしれません。
可動域制限が影響しやすい職業か否かは、事前に慎重に検討する必要があります。