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桝田・丹羽法律事務所

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名古屋地裁平成23年11月11日判決

事案の概要

平成19年4月18日 受傷(自動車に乗車して交差点に進入したところ、加害車両が赤信号無視して衝突してきた)
平成20年7月31日 症状固定(固定時41歳)
 

診断名

左肩関節脱臼骨折
頚部挫傷
臀部挫傷
 

自賠責保険の判断

→左肩関節の可動域制限で、10級10号の認定
(外転が2分の1以下)

   右  左
屈曲  180  140
伸展(参考運動)   70   30
外転    180      85
(全て他動値)

裁判所の判断(逸失利益)

喪失率 :14%
喪失期間:26年(67歳まで)
 
事故時の職業:兼業主婦
 
裁判所は、治療期間中に測定された可動域と、症状固定時の可動域が違いすぎることを指摘しています。
平成20年7月のカルテに記載された測定値を採用して、2分の1以下とはいえず、4分の3以下として、12級と認定しました。

   屈曲  外転
平成19年5月22日   60   45
平成20年2月14日 160 150
平成20年3月27日 170  160
平成20年4月10日   60   60
平成20年7月 180    55(介助すれば125)
平成20年7月31日 140   85
(全て他動値)
 

弁護士の所感

送付嘱託を通じて開示された医療記録に、後遺障害診断書と異なる可動域角度が記載されていたものと推測されます。
 
あまりにも角度に違いがあるため、恐らくは、後遺障害診断書を作成した医師と、治療中に測定をした医師(ないし理学療法士)が異なっていたのではないかと推測されます。
 
訴訟提起すると、症状固定までに通院した病院の医療記録は、ほぼ全て開示されることとなります。
可動域の測定は、測定者によって、大きく異なることが有り得るため、治療中の医療記録の記載の確認は不可欠と思われます。
 
本件でも訴訟提起前に医療記録を確認して、症状固定時と治療中の可動域角度の違いについて、合理的に説明ができるものか否か、検証する必要があったといえます。
合理的に説明ができるとしても、訴訟提起にかなりのリスクがあることを十分に被害者の方と協議をして、訴訟に踏み切るか否か、慎重に検討する必要があった事案といえます。