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桝田・丹羽法律事務所

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東京地裁平成26年1月27日判決

事案の概要

平成23年5月9日 受傷(自動二輪車に乗車中、路外から右折進入した加害車両に衝突された)
平成23年11月10日 症状固定(固定時39歳)
 

診断名

右橈骨関節内骨折
頭部打撲
背部、腰部打撲傷
左第10肋骨骨折
両膝下腿打撲挫創
 

自賠責保険の判断

→左手関節の可動域制限で、10級10号の認定

 
背屈 40 90
掌屈 50 90
(全て他動値)
 

裁判所の判断(逸失利益)

喪失率 :14%
喪失期間:28年(67歳まで)
 
事故時の職業:会社員(管理職)

  背屈 掌屈
  6月23日 30 30
  7月 5日 30 45
  7月 7日 40 40
  7月28日 55 60
  8月11日 35 45
  8月25日 70 70
10月 6日 40 50
11月10日 40 50
(全て他動値)
 
平成22年の所得  521万2900円
平成23年の所得  455万0530円
平成24年の所得  591万0261円
 
裁判所は、以下の点を指摘して、喪失率14%、喪失期間28年と認定しています。
①関節可動域が改善後、徐々に悪化するという不自然な推移
②収入が増加していること
(しかし、板金・塗装の作業にかかわることが困難になったこと)
 

弁護士の所感

送付嘱託を通じて開示された医療記録に、症状固定時と異なる可動域角度が多数記載されていたものと推測されます。
 
痛みの状況等によって波があるにせよ、不自然な印象を持たれるのはやむを得ないかと思われます。
 
最大に回復していた8月25日を前提にすると、健側の78%となりますから、基準上は、非該当になってしまいます。
しかしながら、後遺障害診断書の記載、自賠責の判断を一定程度尊重して、12級前提の喪失率を採用したのではないでしょうか。
 
やはり、訴訟提起前には医療記録を精査する必要があることを示唆する裁判例です。
訴訟提起するのであれば、このような治療中の可動域の推移を合理的に説明できるか否か検証してからにすべきといえます。