名古屋地裁平成27年4月17日判決
事案の概要
平成23年11月5日 受傷(自転車に乗車して道路を横断中、加害車両に衝突された)
平成24年7月11日 症状固定(固定時37歳)
診断名
右上腕骨近位端骨折
左鎖骨遠位端骨折
自賠責保険の判断
→右肩関節の可動域制限で、10級10号の認定
(醜状障害12級14号、左肩痛14級9号、併合9級の認定)
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右 |
左 |
屈曲 |
130 |
180 |
伸展 |
60 |
75 |
外転 |
80 |
180 |
(全て他動値)
裁判所の判断(逸失利益)
喪失率 :1年間27%、その後10年間5%
喪失期間:11年
事故時の職業:調理師資格を有するアルバイト
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屈曲 |
外転 |
平成24年 7月11日 |
130 |
80 |
平成24年11月14日 |
140 |
150 |
平成25年 2月20日 |
160 |
120 |
平成25年 3月27日 |
160 |
160 |
以後、可動域に変化なし(本人の供述と思われる。)
裁判所は、以下のように指摘して、喪失率について、1年間27%、その後10年間5%と認定しました。
①平成25年3月27日の時点では、4分の3以下にも制限されていない。
②ただ、右肩が事故前と同様には使えなくなった。
弁護士の所感
送付嘱託を通じて、症状固定後の医療記録が開示されたものと思われます。
症状固定後もリハビリを継続していたため、その後の改善が順次記載されていたのだと思われます。
実際に可動域が改善したということなので、結論の妥当性はあります。
しかし、症状固定後、早期に示談で解決していたら、結論は大きく異なったと予想されるので、被害者の方が複雑な気持ちになったであろうことは容易に想像できます。
症状固定後の改善により、自賠責が認定した等級とは大きく異なる結論が示された裁判例として紹介させて頂きます。