交通事故の被害者側に特化した札幌の法律事務所の弁護士にご相談ください

桝田・丹羽法律事務所

相談無料 お気軽にご相談下さい!011-206-0047 平日:9時~18時

大阪地裁平成27年11月27日判決

事案の概要

平成24年3月11日 受傷(自動二輪車に乗車して直進中、路外から右折進入してきた加害車両に衝突された)
平成25年5月28日 症状固定(固定時30歳)
 

診断名

左鎖骨骨折
左肋骨骨折
左肩甲骨骨折
 

自賠責保険の判断

→左肩関節の可動域制限で、10級10号の認定

 
屈曲 180 150
伸展 55 45
外転 180 90
(全て他動値)
 

裁判所の判断(逸失利益)

喪失率 :14%    
喪失期間:7年
 
事故時の職業:会社員兼アルバイト

  屈曲 外転
平成24年4月19日 130 130
平成24年5月7日 120 120
平成24年6月20日 100 100
平成24年7月23日 120 120
平成24年11月9日 160 160
平成25年1月18日 160 160
平成25年2月20日 160 170
平成25年3月8日 160 170
平成25年4月12日 160 160
平成25年5月28日 150 90
(全て他動値)
 
概ね順調に改善して、症状固定の約1ヶ月半前には外転も160度まで改善。
→裁判所は、症状固定の時点で外転90度に制限されていることを合理的に説明することは困難と認定しました。
 
ただし、左上肢を肩より高く挙上した際の疼痛を考慮して、12級13号と認定しました。
→その結果、喪失率については、14%7年間と認定しています。
 

弁護士の所感

この事案も、送付嘱託を通じて開示された医療記録に、症状固定時と異なる可動域角度が記載されていたものと推測されます。
推移をみる限り順調に改善しているように見えます。
 
原告代理人は、症状固定前期間の可動域は、リハビリ終了直後の測定結果であり、本来の状態とは異なる状態であった旨の主張をしたようですが、採用されていません(主治医もそのような意見を書いているようです。)。
 
訴訟提起前に、医療記録を取り寄せたところ、本件のような可動域の記載があった場合、どのように進めるべきか、悩ましいところです。
ただ、主治医が合理的に説明できるというのであれば、10級前提で示談交渉しても、正義に反するとまではいえないように思われます。
 
いずれにしても、やはり、訴訟提起前には医療記録を精査する必要があることを示唆する裁判例です。