症状固定時期が争われる場合①
2015/06/06
交通事故において、後遺障害が残ってしまった場合、「症状固定」という概念が、用いられることになります。
労災保険において「症状固定」とは、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき」とされています。
裁判例では
「症状固定日の時点で、それ以上の治療効果が期待できない状態」(横浜地判平成23年10月25日)
「治療を続けてもそれ以上の症状の改善が望めない状態」(東京地判平成24年7月17日)
等とされています。
若干、分かり難い表現がなされていますが、要は、一通りの治療が行われて、それにもかかわらずこれ以上、症状が改善しない状態というような意味と考えて宜しいかと思います。
この症状固定の時期ですが、特に、加害者側が争わない場合には、医師が後遺障害診断書の症状固定日に記載した日が、症状固定の時期とされます。
しかし、訴訟において、症状固定の時期が争われることも少なくありません。
大きくは、以下の2つの争われ方があります。
1 加害者側が、後遺障害診断書に記載された症状固定日より、もっと早い時期に症状固定していると主張して、治療費・通院慰謝料・休業損害の一部について、争ってくる場合
2 加害者側が、後遺障害診断書に記載された症状固定日には症状固定していないとして、その時点の可動域制限や状態より改善していることを主張して、逸失利益・後遺障害慰謝料の一部について、争ってくる場合
いずれの場合も、加害者側の主張が認められれば、被害者の方が受け取るべき賠償金の額が少なくなりますので、的確に反論、立証をして行く必要があります。
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